第13章 愛ある生活

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じわじわと今の自分の立場に疑念が生まれてくる。わたしはきちんとリュウとの間に距離を置いて。彼を他の女の子に全て任せることについてそろそろ真剣に考え始めたほうがいいのかもしれない。 そうしないと。傷が残るような変な形で彼との関係が破綻する可能性だってある。 例えば、こんなわたしの現状に気づかれて全てを知られてしまうとか…。 少し黙り込んでしまったことに気づいて我に返る。慌てて笑顔を作り、上林くんの顔に頬を寄せた。 「上林くんだってもてるでしょ、充分」 話しやすくて気さくだし、気配りもできる。人懐こくて明るくて感じもいいし。こういう人に口説かれたら警戒心なく女の子は受け入れそう。 彼は満更でもない感じで答えた。 「うーん、でもだいぶリクとは違うよ。俺はさ、自分からどんどん積極的に行かないと。一生懸命口説いてなんとかだもん。その点あいつは向こうから自然と来る中から気に入れば付き合うみたいな感じだから。自分から本気で行ったことなんかあんまりないんじゃない?不自由しなさ過ぎのせいか、なんか淡白なんだよな。そういうとこも憎らしいけど」 「あー…、そうなの」 わかるような気も。初めてここに連れてこられて一緒に飲んだ時も、長崎くんと上林くんは女の子がいるって状況にちょっとテンション上がってはしゃいでたけど、高松くんは割にゆったりと落ち着いてた。あれが『不自由しない』って態度か。     
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