第13章 愛ある生活

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相変わらず三人対一人での集団デートは続いていた。友達同士でわあわあ言いながら賑やかに遊びに行ってもおかしくない場所が多かったし、そこにたまたま紅一点で女の子が混じってるっていう風に周囲からは見えていただろう。そう考えてもう何も言わないことにした。こんなことも長崎くんが結婚するまでの間だけのことかもしれないんだし。 でも一度だけひやりとすることがあった。 都合を訊かれて、その週末の土日は商店街の地元の神社のお祭りだから、と何気なく口にして断った。まなん家の辺り?あの辺に神社なんかあったっけ、と首を捻る彼らにそうか、と思いつつ 「あの、リュウの。…彼の家のある商店街でなんだけど。毎年お手伝いする約束になってて。詰所で係員やることになってるの、今年も。子ども神輿に参加した子に配るお菓子の袋詰めしたり、飲み物手配したり。まあ雑用だけど」 と慌てて説明する。 「そんなこともやってるんだ。本当に小まめな子だな、まならしいや」 不快そうにされるかと思ったけどそんな風に受け流してもらえてほっとしてたら当日になってひっくり返った。まさかの現場に彼らが連れ立って現れたのだ。三人揃って詰所に顔出して、「まなちゃん」ときた。 まじか。 パニックになりかけながらも彼らに駆け寄り詰所の外に連れ出す。ちらとかもだけど、リュウに見られてしまった。自分の身体で何とか中から見えないように彼らを隠そうとするけど、三人は全く頓着しない様子。 「まな、すごく可愛いな法被姿。似合ってるよ」     
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