第13章 愛ある生活

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頼むから何処からか入手した法被のコスプレさせられてプレイ、とか絶対やめて。そう思いつつ彼らを何とかその場から遠ざけようと 「どうしよ、わたし、案内しようか?この道をずっとまっすぐ行くと神社があって、そこの境内で出店とかいっぱい出てるよ」 と指し示すと、そこはさすがに 「いや、いきなり勝手にきちゃったから。まなは仕事があるだろうし、俺ら自分たちで自由に見て回るよ。また連絡するから」 と素直に去っていった。いつもの癖で抱きしめられたりキスされたらどうしようかと思った。助かった。 と考えつつぐったり疲れて詰所の中に戻るとそれまでじっとこっちを伺ってたらしきリュウがふいとわざとらしく視線を逸らしたのがわかった。あーあ。 この人、恋愛感情こそわたしに対してゼロだけど。行動様式は基本束縛彼氏の仕様なんだから。絶対根掘り葉掘り訊かれる。面倒なことになっちゃったな。 でも、遅まきの反抗期よろしく、何でわたしがびくびくしなきゃいけないの?どうにでも判断しろや、と開き直る気持ちがふつふつと湧いてきて、正直に中学の時の同級生と説明したほかはさっさと放り出してしまった。 大体なんでわたしがリュウの目にどう見えただろう?とか悩まなきゃいけないのか。ただの友達なら別に関係ないのに。不自然でない言い訳を必死に探しかけた自分に急激に嫌気がさした。     
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