第14章 神野くんとわたし

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第14章 神野くんとわたし

「ま、とりあえず、乾杯。…ここにいるみんなの再会と、めでたく結婚まで漕ぎ着けた長崎心一朗くんに」 「まだ結婚してないよ!入籍もこれからだって。俺は独身なの、正真正銘」 本気なのかふざけてるのかわからない大真面目な表情で音頭をとる高松くんに、長崎くんが往生際悪く口を尖らせる。いやもう、どっちでもいいじゃん。式場も日取りも決まっちゃったってことだし。 それにしても長崎くんってそういうフルネームだったか。みんなシンとしか呼ばないからって。今更知るってのもどうなのか。我ながら間抜けだ。 まぁ、改めて尋ねる機会もなかったし。内心で開き直る。お別れする前にようやく正式名称が判明してよかったと思えば。ものは考えようだ。 珍しくアルコールを選択し、甘めのカクテルを頼んで有耶無耶な気持ちで乾杯に参加する。何となく長崎くんのお祝いを兼ねてるならソフトドリンクでもないか、と思って。あんまり強くないことが自覚できたから、あれ以来ほんの嗜むくらいしかお酒は飲んでなかった。     
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