第14章 神野くんとわたし

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でも考えてみたらこのメンバーなら。今されてること以上のことはわたしに仕掛けてこないと思う、酔っていようがいまいが。今日は上林くんの部屋にこのまま泊まりだし。多少酔っ払ってもみんなで面倒見てわたしを部屋まで連れ帰ってくれるだろう。 そこまで考えて曖昧なすっきりしない気分のもとにまた思いが帰ってくる。わたしたちはここで飲んだあといつも通り部屋へ行くとして。この人はどうすんだ? まさか一緒には来ないでしょ。だとしたら、みんなでひとしきり楽しく飲んだあと、この人だけここで解散? 口当たりのいいたちの悪そうな(つまり、甘く飲みやすくて意外にアルコール度数が高そう、ってやつ)カクテルをちみちみと口許に運びながら用心深くみんなの様子を伺う。 この場に彼がいることに特に疑問を持ってる様子はない。てことは、わたし以外は全員事前にこの人が来るのを知ってたってことか。 わたしはうんざりと多めの一口を喉に送り込んだ。またこの人たち。わたしに黙って何か物事を勝手に進めようとするんだから。 今まではまあまあどっちでもいいことが多かったけど。今回のこれはどういう意味があるんだろ? 「久しぶりだな神野。お前まじで全然変わんないじゃん。どこで会ってもすぐわかるな、これじゃ」 中学の時から栗鼠顔だったってことか。 「シンは確か同じクラスだったよな」 高松くんが口を挟む。長崎くんは頷いて肯定した。     
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