第14章 神野くんとわたし

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「まなは怒鳴る人が苦手なんだな。気持ちはわかるけど、体育館って音響くだろ。練習してる時って物音がすごくて聞こえづらいから、指示は出来るだけ大声で怒鳴るしかないんだよ。まあ結果、内容も怒鳴り声に相応しい感じになっちゃうわけだけど。どっちが先かって言ったらそういう事情もあるんじゃないかな」 「はあ、そうかも」 普通に感心する。 上林くんも身を乗り出して参加してきた。 「その点うちみたいな、サッカー部とかはさ。屋外だから全員に何か伝達するにはこれもまた大声で怒鳴るしかない。ただ、結構声が拡散するからな。割に見てても圧迫感がないんじゃないの」 「そうだね。サッカー部の練習見てもあんなに滅茶苦茶怒鳴られてとは思った記憶ない。まあ、あんなに何時間も外走り回ってよくやるなぁとは考えたけど」 高松くんが苦笑する。 「当時のまなに俺たちそんな風に思われてたのか。なんか、今こうしてるの改めて不思議だな。…そういうまなは部活やってなかったの?帰宅部?」 「えーと、手話部?ってのがあって」 「ああ、あったあった。部活紹介のときとか手話で歌うたったりしてたじゃん。あんなのやってたの?」 わたしは肩を竦めてカクテルを一口飲んだ。これ、油断してると思いのほかどんどん進んじゃうな。手持ち無沙汰だからって飲み過ぎないよう気をつけないと。 「活動が週一日だったから…」 楽かな、と思って入ってみたけど。一応真面目に出てたと思うけど、特に親しい人が出来るでもなく終わってしまった。週一だから他の部活と掛け持ちしてる人も多かったし。     
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