第14章 神野くんとわたし

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結局お腹いっぱい食べてお酒も飲んで、といったところでその場はひと段落。高松くんが伝票を取り上げて会計に向かう。あとで男の子たちで割ってるみたいだけどわたしはいつも払わせてもらえない。よくわかんないよな、同い年だし。収入もそんなに違いがあるとは思えないのに。 この人も一応男の子だし。まさか奢りじゃないよね。そう思ってちらと神野くんを見たけど。その場で彼らが勘定を割ったりすることはなかった。会計を済ませた高松くんを待ってぶらぶらとみんなで歩き出す。 方向が駅の方じゃない。ここからほど近い上林くんの部屋の方に向かってる。わたしはちょっと気になって上林くんに近寄り、声を落としてそっと尋ねた。 「…あの人も来るの?」 「うんまあ、いいじゃんせっかくだし。もう少しみんなで部屋で飲もうよ。多少は買い置きあるしさ」 「…ふぅん」 あまりに平然と言われて曖昧な気持ちで黙り込む。いつもならさっさと部屋に行って一刻でも早く貪りたがるくせに。一体どういう風の吹き回しなんだろ。 よっぽどこの人のこと気に入ってるのかな。確かに顔は可愛らしいし。コミュ障って自分で言う割には会話もそつがない。どういう人物なんだろ?って気にならないこともないけど。     
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