7人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんと、お優しい! 分かりました。にいださんには、最高の美味を授けましょう!」
タコの体が一層輝きを増す。
そして……
……
……
……イカリングが三つ、空から降って来た。
イカリングが二つ、そのままベッドとクッションへダイブする。そして残りの一つは、コロコロと転がってコタツの中にINした。
「うぉぉぉぉぉぉ!!! ベッドとクッションに油が!!! コタツの中まで油が!!!」
「ハッピーバースデー!」
「どこがハッピーなのですか!?」
「許してやって下さい。イカリングも寒かったのです。それにしても、たまたま開いていたコタツ布団の隙間からINするなんて、ちょっとした奇跡ですよね?」
おいらはタコの体を両手で鷲掴みにした。
「ありがとうございます……酒の肴が欲しかったんですよね……もう食べてもいいですか? 足が8本もあるから大丈夫ですよね? 変なタコの足が美味だったって噂に聞きましたよ……」
「ちょっ、まっ、話し合いましょう!」
「頭のてっぺんから足の先まで、余す事無く堪能させて頂きますね……」
「存在が無くなる!? あっ、あっ、あなたの願いは叶えました! では、さようなら」
……
……
こうして、イカリングを部屋中に残して神は消えた。
「おいら……何も悪い事してないよな?」
イカリングを口に運ぶと、やたら美味くて余計に悲しくなる。
スマホを手に取ると、多くのクリエーターからお祝いのメッセージが届いている事に気付いた。
癒される。
「みんな優しいな……あっ!?」
大変な事に気付いた。
「あのタコ神様……他のクリエーターのところにも……」
……
……
……それはそれで面白いか。
この意味不明な出来事を心の奥へと閉じ込め、おいらは雪掻きを始めた。
そして神は、奇跡の三日連続降臨に挑む……
【HAPPY BIRTHDAY!】
最初のコメントを投稿しよう!