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もうだめ……死ぬ。
幽霊撮りが幽霊を撮る前に、ううん。撮りに行こうとして、幽霊になる。ミイラ取りを上回ることわざが誕生しそうだ。
ああ、めまいがする。頭が重い。空あくびが何度も出て、口内に溜まる生唾を何度となく飲み込んだ。手足は冷たいのに冷や汗が出て、更に体が冷えていくし、吐き気は喉元まで込み上げていた。
いっそ嘔吐できればいいのに、トイレへ行っても何も出ない。僕は白い便器を眺め暗澹たる気持ちになった。
壁にもたれズルズル這うように歩き、広間の客室へ戻る。
……もうちょい。
数人の客が雑魚寝をしている船室。やっと僕は自分の簡易寝床へたどり着き、ドサッと崩れるように倒れ込んだ。
深月照太。二十三歳。伊豆諸島海域 、船上にて死去。
なんて誰得でもない見出しが脳裏に浮かんだ。
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