ヨコハマ ギャングスタア パラダヰス

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黒服がパッと私を見上げる。 「貴様……」 鋭い双眸が此方を向いた所で、顔が露わになる。 ああ……矢張り、彼だ。芥川龍之介だ。 という事は、此処は紛れも無く…… ………………文豪ストレイドックスなのだろう。 「や。通りすがりの者だけど、 今の台詞は放って置けなくてね」 軽く跳躍すると、 白の少年……中島敦の横に降り立つ。 「少年。気にする必要は無いよ」 次元の管理人から貰った身体能力は遺憾無く その力を発揮した様だった。 そして続けざまに、異能力を発動する。 異能力……『原子の世界』 よく分からない文字列が、 自身の身から波状の様に生じた瞬間、 空間に異変が起こる。 「……な!能力者か!!」 驚愕の表情を浮かべる芥川を尻目に、 倒れる谷崎兄妹に触れて異能を発動。 凄まじいスピードで、 周囲の酸素やら血液やらの原子が操られ再構築。 その姿を皮膚へと変え、傷口を覆う。 そしてそのまま襲ってくる黒獣に向けて、 左手を突き出した。 管理人の言うことが真実であるなら、 物質として存在している以上、 異能力とて原子はある。ならば………… 「太宰さんと同じ能力!?」 左手に触れた所から、黒獣が分解されていく。 その様子は確かに異能無効化に似ているが…… 「違うよ。異能無効化では無い。 それに……余所見をしている暇があるのかな?」 視界の端に映るのは白虎…… 否、異能を使用した中島敦。
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