1:鬼上司/突然の呼び出し/婚姻届

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 席に座り、先程受け取った書類を確認すると、会議資料と思われた。ふと、デスクの隅にある卓上カレンダーに目をやった。 〝課長 10:00~会議〟  明日の日付の欄にそう書かれていた。  これは、その資料だろう。なら、絶対に今日中に終わらせなければ...。  とりあえず、午前中の終わり頃に言われていた仕事に手を付けた。―――  「19、20、21。よし、三十部、二十一ページ、これで全部!後は、ファイリングだけ...。」  課長のデスクの背後の少し離れた場所である、オフィスの片隅にある複合コピー機の前で、誰にも聞こえない位の小さな声で呟いた。  まさか、こんな小さな呟きが誰かの耳に入ってるなんて思わない私は、毎回ではないけど、此処でいつも極小声で独り言を呟いたり、声出し確認をしていた。  コピー機の隣にあるパテーションで囲まれた小さな打ち合わせスペース。資料のファイリングは大体この場所でする。  午後四時半。定時まであと一時間。  何事も無ければ、定時までには全て終えて上がれる!週初めの月曜日、残業もなく上がれるのは珍しい。絶好の滑り出しに、少しだけ疲れが吹き飛んだ。
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