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「―課長。ファイリング終わりました。」
午後五時。予定通り、スムーズに頼まれた仕事を熟すと、出来上がった資料の束を箱に詰めして持って行き、課長に声を掛けた。
「ああ。その辺に置いておけ。」
相変わらずパソコンの画面から、目線を反らすことなく指示をする課長。私は、視線を巡らせ適当な場所を見つけると、「此処に置いておきます。」と言って箱を降ろした。
定時まであと三十分。
残っている仕事は、時間に余裕のあるものばかりで、今日中に終わらせなければならない仕事は無かった。
残り三十分。中には仕事をする振りをして時間を潰す人もいるが、私の性格もあるが、課長の目が怖い。というか...、何もしないでそれを指摘されるのも、仕事をしている振りをしていても、それを見抜かれたら、後が怖くて出来ない。
なるべくなら、課長に声を掛けるのは必要最低限に留めたい所だけど、背に腹は変えれないと、渋々課長に声を掛けた。
「課長。定時まであと少しあるので、何か他にする事はありますか?」
これは、あくまでも私の憶測だけど、課長はこの手の声掛けを嫌う。
〝手が空いているなら、自分で自分の仕事を探せ。一々俺の指示を仰ぐな。〟
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