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「また、課長に挑んで撃沈した子がいるみたい。」
内緒話をする様にと言っても、少し前屈み気味になっただけで、声は抑えていても、きっと周囲数人には聞こえているだろう声量で、ラーメンそっちのけで小夜は言った。
「へぇ~。未だそんな子居たんだ。」
〝鬼課長〟の話は入社後一年以上居れば、女子社員の結構社内では有名な話として耳に入ってるが、新人の内は無知で、ただ課長の顔の良さに釣られ、積極的な子は勇敢にも挑むが、撃沈する。
そして、今まで課長にキャーキャー言っていたのに、その撃沈した子は振られたあと必ず〝鬼課長〟と呼ぶのだ。
「ていうか、その子の部署の人達も意地悪よね?課長は、鑑賞専門。お近づきには成れないのよ。って教えてあげれば良いのに...。」
「態々、上司の悪い評判なんて皆言わないでしょ。」
小夜の言葉に私がそう言うと、「まぁ、そうだけどさ...」と、少しだけ不服そうな声を出し漸く、伸び始めたラーメンを啜り始めた。が、
「でも、教えてあげれば、あの名台詞の被害者減るじゃない。」
「それ飽くまでも、噂でしょ?皆が同じ様に言われてるとは...――」
「でも、現に皆、泣かされてるじゃない。」
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