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告白
12月も半ばに入り、いよいよ本格的に寒さも増して来た。
ビリヤードのプロテストに受かって半年以上経つが、なかなか思うような結果が出ない。
先日行われた試合でも、無様に3回戦で負けてきた。
周りはプロばかりで、みんな必死に戦ってるのだから当然と言えば当然だ。
だが、そんな現状に満足出来る訳がなく、もうすぐ年に一度の日本一決定戦…ジャパンオープンがあるし…と、今日も雇われている店でムキになって練習していたのだが…
『典孝君。今日、バイト終わったらちょっと良い?』
同じ店で働く白石千尋さんが、何やら思い詰めた表情で、そう話し掛けて来た。
主に店の受付をやっている方で、美人で愛嬌も良いと、常連さん達からも評判が良い1つ年上の女性だ。
千尋さんには、俺も妹の京子も世話になっているし、当然のように好意は持っているので、千尋さんから誘われて断る理由など無い。
『良いけど…どしたの?千尋さん、何か暗いけど…』
いつも明るい千尋さんには珍しく浮かない表情だ。
『…うん。ここじゃちょっと…バイト終わったら話すから…』
人前では話し辛い内容なのか…千尋さんは俯き加減で、その小さな唇を開いた。
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