告白

2/5
前へ
/17ページ
次へ
 夕方になり交代の人間が来た為、2人で仕事を上がる。  タイムカードを押し2人で店を出ると、そのまま近くのカラオケボックスに移動する。  俺も千尋さんも家は近所なので、いつもは2人で歩いて帰るのだが、何やら深刻そうな感じだし…  人目を気にせず、落ち着いて話しが出来る場所と言うと、近所にはカラオケボックスしか無かった。  部屋に入り、ドリンクを2人分注文するが、その間も千尋さんの表情は暗い。  とてもカラオケに興じる雰囲気ではない。 『で?どしたの?何かあった?』  千尋さんは椅子に座ってオレンジジュースを少し口に含むが、俯いたままで黙っていたので、仕方なく俺から切り出した。  なるべく話しやすいようにと…努めて明るく声を掛けたのだが、千尋さんはそれでも話し辛かったのか…少しの間を取った後、ようやくボソボソと話しだした。 『…あのね…』 『うん。』 『…典孝君て、クリスマスってジャパンオープンだっけ?』 『うん。何も、わざわざクリスマスにやる事ないのにね。予選が24日で、決勝が25日。ま、試合は土日に集中するから、仕方ないんだろうけどね。』  そう。今年のジャパンオープンは、クリスマスにぶつかった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加