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ビリヤードの試合は、ともかく時間が掛かるので、予選の24日はともかく、決勝の25日は朝から夜中まで会場に軟禁状態になるだろう。
もっとも、さっさと負ければクリスマスを堪能する事は可能だが、それはプロとして如何なものか?と言う話しだろう。
千尋さんもうちの店で働き始めて2年近くになる。
俺も仲良くして貰っている為、そんなの解っている話しなのだが…
『…だよね…』
そう言うと、再び俯いて黙ってしまう。
『…何なのさ?』
ジャパンオープンが近い事もあり、本来ならもう少し練習したかった所に、千尋さんのはっきりしない口調に少し苛立って、つい責めるような口調になってしまった。
千尋さんはその俺の口調に、今にも泣きそうな表情で口を開いた。
『…あのね…常連さんで、橋本さんいるでしょ。』
『…いるね。橋本さんがどうしたの?』
橋本貴士さん。確か、歳は20半ばになる、地元の大手自動車メーカー勤務のサラリーマンだ。
特に悪い話しは聞かない。
むしろ、いつも礼儀正しくて好青年と言えよう。
橋本さんに何かされるとも思わないが…まぁ、人には相性もあるし、苦手だから何とかしてとか言う話しか?
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