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そんな的外れな推理を脳内で展開していた俺に、ちょっとショックな話しが飛び出す。
『…橋本さんがね…クリスマス一緒に過ごして欲しいって…』
『…』
思わずコーラが入ったグラスを持ったまま固まってしまった。
別に、俺と千尋さんは恋人って訳じゃない。
ただ、一方的に俺が好意を寄せているだけだ。
だが千尋さんから、まさかそんな相談をされるとは微塵も思っていなかった為、一瞬返答に困ってしまう。
『…典孝君?』
『あ…いや。何それ?何かのパーティーとかの誘い?』
本当は解っている。
千尋さんは本当に人気なのだ。
好意を寄せる人間が俺以外にいても、何も不思議な事じゃない。
だが、何となく認めたくなくて、つい誤魔化すようにそんな風に聞いてみたのだが、千尋さんは小さくフルフルと首を横に振る。
『…じゃあ、告白されたって事?』
俺がそう聞くと、今度は小さく縦に頷いた。
『…そっか…良かったじゃん。橋本さん、優しそうだし。』
この時の俺がどんな表情をしていたのか…自分ではなるべく平静を保ったつもりだったが…
千尋さんは、そんな俺の答えに少し沈黙したあと、囁くように言葉を絞り出した。
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