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狼男
その街では、ある魔物が暗躍していた。「狼男」。それは伝説上の魔物で、物語の中だけに存在する作り物のはずだった。
けれど『伝説』や『物語』に生まれるのは何故だろう。どこかでそれは実在しているからだ。
知らぬ間に、ソレは人の間を闊歩していた。食った相手に化け、人として生き、そして生存を維持するためにまた誰かを食らう。
そんな魔物たちがいるのだ。
家族に成りすましたソレは、妻を抱き、子どもたちの幸せを願いながら次はどれを食うかと舌なめずりをする。
隙を見せた友人を食い、今までの見せかけの家族を捨てる。その家族の嘆きに我がことのように涙を落とし、必ず探し出すと誓って見せる。そしてまるでおやつを食べるように、育てていたはずの子どもを食う。
人の顔を渡り歩きながら、ソレは街に溶け込んでいる。
これはその魔物の中で『狼男』と呼ばれるモノを狩る、あるハンターの物語。
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