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め……るの……
めざ……ので……
……
……
……目覚めるのです。
何処からか声が聞こえてくる。
眩しい光に包まれ、ゆっくりと瞼を開いた。
「お待たせしました、束砂さん。私は……」
ベッドから体を起こすと、30センチほどの小さな雲に乗った、キラキラと光るタコが視界に入る。
とうとう来た。
「神様ですね? お待ちしておりました」
「いえ、これは夢では……って、待ってた!?」
「今日この日の為に、私は生まれたと言っても過言ではありません」
言い過ぎたのだろうか? 神様が少し怯えていた。このままでは逃げてしまうかも知れない。先ずは怪しまれない様に、警戒心を解かないと……
「こちらにお座りください。それと……粗茶ですが、どうぞ」
お気に入りのクッションに座らせ、お茶を勧めるとタコが笑顔になる。
その姿が可愛いので……
……
……
……頭に噛みついてしまった。
「ぎゃー!!!」
驚きの余り、神は墨を吐きながら窓の外へと飛び出す。
「ああ、待って下さい!」
また、やってしまった。
次に来た時はロープで縛っておこう。そう考えながら、私は夢の世界へと戻って行った。
【完】
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