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「ううっ、抜けない……」
買い物に行こうとしたら自販機の下に小銭を落として困ってる神様がいたので、取り敢えずロープで縛って連れ戻した。
「もう逃げないから放して下さい。それと、噛んじゃ駄目ですよ?」
「はい、噛みません」
「返事は良いですね……さて、束砂さんは数々の祭で活躍されました。その功績を称えに来たのです」
「まあ、嬉しい! 何かくれるのですか? それとも願いを叶えてくれるとか?」
「あなたの心を覗かせて頂きますね……噛みつく……縛る……逃さない……」
……
……
「さよなら」
「逃がしませんわ!」
危なかった。ロープを解いていたら、逃げられていただろう。強く縛り過ぎて、神様の形が崩れてしまったけど放す訳にはいかない。
「分かりました、分かりましたから、ちょっと落ち着いて下さい! ぬっ、ぬいぐるみなんてどうですか?」
「タコデレラのぬいぐるみなら欲しいです」
タコは縛られたまま、タコ型タブレットを取り出してタコデレラのぬいぐるみを調べる。
「あっ、ありましたよ……えっ? じゅっ、じゅっ、十七万八千円!? あわわわわわ……」
タコは泡を吹いて気絶した。仕方が無いので、無理やり叩き起こす。
「神様! 寝てないで願いを叶えて下さい!」
「かっ、勘弁して下さい。私のお小遣いは月に30円なので、五百年くらい貯めないと買えませんよ」
「五百年……そんなに待てませんわ」
私はショボンとした。
タコはホッとした。
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