待ち侘びていた!

5/5
前へ
/5ページ
次へ
「……有難う御座います。せめて天使の様に優しい束砂さんには、最高の美味を授けましょう!」  タコの体が一層輝きを増す。  そして……  ……  ……  ……イカリングが三つ、空から降って来た。  イカリングはそれぞれ、束砂さんの宝物である『めうのぬいぐるみ』『めうのハンカチ』『めうの弁当箱』に降臨した。 「キャア―――!!! 私の宝物が!!!」 「ハッピーバースデー!」 「どこがハッピーなのですか!?」 「ぬいぐるみやハンカチのお蔭で、油が飛び散りませんでしたよ。それに、弁当のおかずが一品増えました。最高ですね」  私は神の体を両手で鷲掴みにした。 「有難う御座います。でも……いくら神様でも、調子に乗り過ぎじゃないですか? やって良い事と悪い事の区別がつかないのですか?」 「逆鱗に触れた!? ちょっ、まっ、話し合いましょう!」 「逃がさない……そうね。タコデレラのぬいぐるみが手に入らないのなら、神様に代わってもらうしかないわね。さあ、ドレスを着ましょう。ウフフフフ……」 「目が座ってる! あっ、あっ、あなたの願いは叶えました! では、さようなら」  ……  ……  こうして、イカリングを部屋中に残して神は消えた。 「逃げられた……」  イカリングを口に運ぶと、やたら美味くて余計に悲しくなる。  スマホを手に取って覗くと、多くのクリエーターからお祝いのメッセージが届いていた。  癒される。 「みんな優しいな……あっ!?」  大変なことに気付いた。 「神様……もしかして、げた様のところにも……」  ……  ……  ……逃がしませんわ!  めうのぬいぐるみを抱き締め、私は無我夢中で駆け出した。 【HAPPY BIRTHDAY!】 image=508427593.jpg
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加