最強のパーティー

6/6
前へ
/10ページ
次へ
本当にありがとう! そうして皆にお礼を言った後、僕はグラスバンドの演奏に耳を傾けた。 思い出の音楽は今年もやっぱり素晴らしかった。 僕は、チラッと彼女の様子を確認する。 するとこちらを見ていたのであろうか彼女と目が合った。 その時の彼女は何とも言えない表情だ。 嬉しがっているのか、驚いているのか、少しがっかりしているのか。 もしかしたら彼女は、僕に気を使ってプレゼントを嬉しがる演技をしていた…? でもやるべきことはやったので、これ以上考えても仕方ない。 後、伝えることがあるとすれば… (1年間、本当にありがとう。こんな情けない男だけど、これからもよろしくお願いします。) 本当は言葉にして言いたかったが、恥ずかしくて言えずに微笑むだけになってしまった。 こんな時にさえ、しっかり彼女に思いを伝えられない内気な自分。 そんな自分を情けなく思ったその時だ。 「…!!」 彼女は僕にあるものを与えてくれたのだ。 それは物ではないが、今年のクリスマスはこれまで以上に素敵なものになる。 そんな予兆をはらんでいるものだった。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加