単純

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単純

静寂に包まれた店内の中心で、静かにグラスバンドの演奏が始まった。 その心地良いメロディーを聴きながらふと考える。 (男の人って単純というか、純粋だなー。) 当の本人である彼氏は、グラスバンドの演奏を食い入るように聴いている。 「今年のクリスマス何か良い事あるかもよ」 Y子がやたらニヤニヤとそんな事を言っていたのを思い出した。 そして彼氏のバックの異様な膨らみ。 プレゼントをくれるのかなとは、薄々感づいていた。 (でも、上手くいって良かった。) クリスマスまでのここ最近の出来事を思い出す。 「彼氏さんがクリスマスイブに予約したいとの事ですが、ご一緒ですよね?」 1週間前に、私が以前から予約していたレストランの店長からそのような連絡が来た。 私が学生の時から馴染みにしていた店長だ。 勿論私は彼氏と来ようと思っていた。この店のことはサプライズで予約していたが彼氏も同じことを考えていたらしい。 ギリギリに予約するところがなんとも彼氏らしい…。 彼氏が電話した時は既に予約が一杯だったらしいが、私が予約していたのを彼氏名義に変更して貰った。 勿論それは、内緒だ。 男のプライドを傷つけてはダメだと店長は助言してくれた。     
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