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『あなたへ
まずは完治おめでとうございます。
とても感慨深く、そして喜ばしく思いました。
私はこの日を本当に待ち遠しく感じていましたから。
封筒の中身はご覧になったかしら?
私からのささやかなプレゼントです。
そして、私へのあなたが出来る最上級の贈り物です。
思えば結婚当初から浮気ばかり繰り返していましたね。
あなたは知らないでしょうけど、私は何度相手の女性に別れを迫られたか数え切れません。
モテるのね……知らなかったわ。
別れることにこれっぽっちも異存なく、むしろなぜ私にそんなことを言うのかしら? と不思議でした。
最後に来た女性……川田さんだったかしら? に教えて貰ってやっと納得しました。
あなた、私が別れてくれないと嘘をついていたのね。
分かりました、別れてあげます。
あなたを自由にしてあげるし、私も自由になります。
離婚届、判を押してありますのですぐに出しておいてください。
近々、私の弁護士さんから連絡が入ると思いますので、これからはその方とお話なさってくださいね。
私、一年前にあなたが死にそうになった時に、死んでもらったら困ると思ったの。
私に嫌な思いばかりさせて、何食わぬ顔でぽっくり死なれたら、私のほうは死んでも死に切れませんから。
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