第一章 銀行強盗

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            1    年が開けて、一週間が過ぎた一月八日の正午前。  JR総武線 新検見川駅。  同駅は、総武線の中で快速が止まらず決して大きな駅とは言えない。しかしながら住宅地の中心にあり、乗降者数は決して少ないとは言えぬ駅である。  それ故に、駅の規模に対して銀行の数は多い印象がある。  本千葉銀行新検見川支店も、その中の一つ。周辺にある銀行の中では、最も駅に近い銀行と言えよう。  昼の混雑が始まる直前の時間帯。これが年明け直後であれば、時間帯に関係無く混雑していたであろう。  窓口に、三名と順番待ちの客が一名。  ATMでは、三名の客が端末を操作している。  そこに、若い男性客が一名。まるで銀行に初めて来たかのように、入ってくるなり辺りを伺い視線を周囲に送る。それに気付いた行員が、彼に向け一歩踏み出した。  その時、招かれざる客が現れる。
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