第六章 関連性

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   その意味までは、酒出としても現段階では判断が出来ない。だが真奈香にとって、健全な大学生活の象徴が料理サークルのように思える。  学内での真奈香の評判は、正に優等生そのものである。  そうした自身の評判を守る為にも、真奈香は安全な場所と立場におり。今も、警察の動きを伺っている。状況的に考えて、徳川へ捜査の手が及んだとしても真奈香へは辿り着けないだろう。  もしもこれを上層部へ報告したならば、真奈香が本当に本件に関与しているのかという話しになろう。  そう、真奈香が首謀者であるというのは、酒出の推理でしかない。それを証明する材料は、今のところ無いに等しい。唯一、直江という料理サークルを脱退した男子学生の証言が、彼女の悪しき部分を示してはいるが。  だがそれとて、事件との関与を示すものでは無い。  仮に酒出が、事件の全体像を推理したとて。真奈香だけは、逮捕する事は出来ない状況である。
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