第六章 関連性

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   それでも酒出は、事件の全体像を考えずにはいられない。そして、その上でルーティーンを開始する。ルーティーンの開始と同時に、プラネタリウムの模型と化した星座表のイメージが浮かび上がる。  一時は、それで完成であると思えたイメージ。ところが、どうあっても物足りなさを感じてしまう。  それは、当然である。この状況下で推理を構築したとて、完全なものとはなり得ないのだから。  ただ今現在の段階で、出来る推理により。事件の全体像を語る事で、情報の共有がなされ解決へと導ける感覚があった。  捜査とは、空振りの連続である。  しかし、酒出の感覚からして、本件における捜査本部の捜査とて空振りに終わらぬ気がしていた。柿崎が、捜査一課長であろうとなかろうと、効果的な捜査をしていると見た。  要は、時間勝負という事。  莫大な時間と人員を用いれば、本件は確実に解決出来る性質のものである。
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