プロローグ

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   そんな初音は、基本的に未登録の番号からの電話には出ない事にしている。  これは、近年も横行している振り込め詐欺防止の為。  仮に知らない番号からかけてきた知人であれば、留守番電話に切り替わり。そこで声を発してくれれば分かるので、その段階で出るなり後からかけ直せばいいと思っている。  ちなみに、今の電話も未登録の番号から。 「080…… 携帯の番号みたいだけど、知らない番号だからね」  一応念の為、固定電話の前で留守番電話に切り替わるのを待ってみる。理由は無いが、知人からの電話かもしれないと予感がしたから。 『もしもし、ばぁちゃん? 俺、俺だけど……』 「この声は、純太?」  純太とは、息子の景一と嫁の依子の間に生まれた一人息子。初音にしてみれば初孫にして、たった一人の息子である。  その初孫は、今年で二十一歳になる。運送会社に就職し、宅配便のドライバーをしている。
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