プロローグ

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   それよりも問題なのは、その相手の車が激しく破損してしまった事。しかも車は、一千万円を超える高級外国車という事。  相手は警察と弁護士を呼び、示談金を支払えば大事にしないと言っているらしい。  運送会社に就職したばかりの純太は、まだ会社の試用期間中。その間に事故など起こせば、最悪の場合は解雇されてしまう。  初音は、そういうものかと納得する。  そこで純太に代わり、電話口には弁護士を名乗る男が出た。 『お相手の方は、慰謝料と車の修理代込みの示談金として、五百万円を支払えば。この事故は、無かったものとして示談して構わないと言っています』 「ごっ、五百万円もですか」 『それで、お孫さんが助けられるのです。彼としても、今は大事な時期でしょうし。彼の将来の事を考えても、ご用意が出来るならするべきでしょう』 「分かりました。これから銀行に行きますので、どちらに振り込めばよろしいですか』
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