機械の心

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 あ、マニキュア剥げてる。思わず袖を伸ばして隠す。帰ったら塗り直さないと。  マジでテンション落ちる。  行きたくない、行きたくない。  独り言のように、いってきます。という。  線路の上の歩道橋を通って、学校へと向かう。  ひっきりなしに通る電車に、飛び込みたくなる衝動。 そうすれば楽になれるかな。 でもバラバラになった私は、今よりもきっと醜い。  シャッフル、シャッフル。  耳障りのイイ声が告げる願わない明日、空気の湿り気、ドラムの音が鳴る。それはとても心臓の音に近くて。ドクン。  見えてくる白い檻。同じ制服、だけど他人。ああ囚われる。今日もまた、憂鬱そうな人、欠伸をする人、馴れ馴れしく挨拶をする人、みんな上辺ばかり取り繕って、ばかみたいな嘘つきバカり。 私も悲しいくらい、同じだけどね。  耳から白いイヤホンを外し、ポケットの中に入れる。  ココでは心を殺して「佐藤莉奈」になる。  そうする事だけが、ココで生き抜く手段なのだから。  教室の扉を開く。  鞄を机の上に置くと、隣の席の希沙が声をかけてくる。
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