機械の心

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「莉奈、おはよう。」  仮面を被る、女優のふりをする。 フリはいつしか本物になる。 「おはよう。」  ニコッと笑う。仲の良い友達。一緒にトイレに行ったりご飯を食べたり、一人ではできない全てを賄える存在。 彼女が居なければ、この長い長い時間を、一人で過ごさなければならない。とても大切でかけがえがなく、でも代わりはいくらでもいる存在。 「昨日の英語の宿題やってきた?」 「やったやった」  帰ってからの時間は沢山あるからね。 そんなの、テレビを見ながらでもどうにでもなる。あんまりガリ勉過ぎて話題についていけなくなっても困るし、やらなすぎて、先生や親に目をつけられるのもイヤ。  誰にも干渉されずに、ただ、ただ、乗り切りたい。 「今日私当たるかもしれないから答え合わせしない?」  英語は1時間目。希沙は机の中からノートを一冊取り出す。私も鞄の中の筆記用具などを引き出しに入れながら、ルーズリーフを取り出す。 「いいね、私も自信なかったし」  今日は56Pからでしょ。椅子から身を乗りだし希沙へと体を傾ける。  本当はイヤ、触りたくない、触れたくない。けど、しょうがない。  私たちは友達だから。
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