機械の心

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「次の体育、体育館でのバスケに変更。中島には回さないように」  子供かよ、くだらない。  そんな事をして何を得るの?  思わず出るため息。  でも教えない、口を閉ざす。  それでイイ、心にナイフをゆっくりと差し込む。 もう血は出ない。 真っ黒なそれは、もう死んでしまって。  だって、私が口を閉ざしても、情報を得る方法はいくらでもあるでしょ?  ねえ、バカじゃないんだから。  なら、私が言えばイイじゃないって?    冗談。  この世界、弱味を見せたら負ける。  そう、踏んづけて、踏んづけて、誰かに踏まれる前に、踏むしかない。 誰かを犠牲にしたとしても。  中島は体育に来なかった。  その時間何をしていたのかは知らない、知りたくもない。  だって中島が居ようと居まいと、時間は流れていく。  私は私の事だけでいっぱいいっぱいで、誰かを助ける余裕なんてない。それは私以外も同じで。  誰もが同じ制服を着て、同じ顔をして笑う。  そのように「教育」をする場所だから仕方ない。  そうやって機械になれればイイのに。  心なんて、不確かで不安定なものが、抹殺されてしまえばいいのに。
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