ある日

12/12
前へ
/12ページ
次へ
「ちょっといつまで寝てるの!大学休みなんだっけ?」 「ふあっ!?」 え、何。目の前にお母さんがいる。あれ、9年前なんだからもっと若いんじゃないの。というかいつの間にか寝ていた? キョロキョロと見回すと、懐かしかった景色は無くなり、日常の景色が広がっていた。もう一人の私は、いない。 「あのー…今は平成何年ですかね?」 「え?えーと、29年ね。なんで敬語なの」 「そっか…戻って来たのか」 「なに寝ぼけているんだか。昨日もずーっとボーっとしてたし。熱でもあるの?」 「え?」 昨日…枕元にあったスマホを確認する。あのタイムスリップをした日が昨日の日付だ。翌日になっていたのか。あれは…夢? さっさと降りてご飯食べてねと言い、母は去っていった。 まだ頭が追いつかないが、気持ちはとても、スッキリとしていた。 「…またネタ帳、作るか」 そう言って立ち上がり、未使用のノートがしまってある本棚に向かい、探した。 オレンジ色のノートがあった。そこに、黒の油性ペンで「ネタ帳」と書き込んだ。 今日からまた、書いていこう。 自分がそうしたいと思うのだから。 それを心の底から、望んでいるのだから。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加