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「ちょっといつまで寝てるの!大学休みなんだっけ?」
「ふあっ!?」
え、何。目の前にお母さんがいる。あれ、9年前なんだからもっと若いんじゃないの。というかいつの間にか寝ていた?
キョロキョロと見回すと、懐かしかった景色は無くなり、日常の景色が広がっていた。もう一人の私は、いない。
「あのー…今は平成何年ですかね?」
「え?えーと、29年ね。なんで敬語なの」
「そっか…戻って来たのか」
「なに寝ぼけているんだか。昨日もずーっとボーっとしてたし。熱でもあるの?」
「え?」
昨日…枕元にあったスマホを確認する。あのタイムスリップをした日が昨日の日付だ。翌日になっていたのか。あれは…夢?
さっさと降りてご飯食べてねと言い、母は去っていった。
まだ頭が追いつかないが、気持ちはとても、スッキリとしていた。
「…またネタ帳、作るか」
そう言って立ち上がり、未使用のノートがしまってある本棚に向かい、探した。
オレンジ色のノートがあった。そこに、黒の油性ペンで「ネタ帳」と書き込んだ。
今日からまた、書いていこう。
自分がそうしたいと思うのだから。
それを心の底から、望んでいるのだから。
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