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「ちょ、ちょっとこっち!」
倒れ込みそうな私を小さな私は抱きしめ、ベットに引きずっていき座らせた。訳が分からない昔の私は、私を心配そうに、隣に座って背中に手を当て見守っていた。
「ごめん、ごめんね」
ついそう、言葉が漏れた。
「何が?え、もしかして未来の私は病気なの?」
「ちがう、そうじゃなくて」
目を閉じ心を落ち着かせようとする。昔の私は、私が次に紡ぎ出すであろう言葉をただ待っている。言うべきだろうか。何かを…今、言うべきなのだろう。
「それを見ると、心がザワザワするの」
「これ…?」
昔の私は、右手に持っていたオレンジ色のノートを見た。表紙には黒の油性ペンで「ネタちょう3さつ目」と書かれてある。
「どうして?どういうこと?」
昔の私が、縋るような目で次の言葉を急かす。
「それは…」
上手く続かない。どう伝えるべき?はっきりと言うべきだろうか。あなたが思い描いている未来ではない、と。しかし決心できない。この心のモヤは、何。そもそもそんなことを伝える為に過去に戻されたってこと?そんなの、悲惨過ぎる。
「…あのさ、私、未来の自分に会えたら聞きたいなと思ってたことがあるの」
昔の私が、慎重に、ゆっくりと確かめるように、言い出した。背中にある左手が私の服を強く掴むのが分かる。
「将来の夢は、叶うの?」
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