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「重くないですか?」
野獣の時は遠慮してくれたのだろう、明方まで続いた行為は野獣の時より身体を酷使し、朝一度起きた時には立ち上がれないほどだった。
「ノアは軽い。もう少し食べるべきだ」
骨格矯正をした弊害かノアは少食だ。一度にあまり食べられない。
「だが、こうやって抱き上げられるのはいいな」
人間に戻ってからもレオは楽々と持ち上げられる程の筋力がある。
そのまま城を出て、いつもの庭園に連れて行かれる。
「……ぅわ」
ノアは感嘆する。一面に色とりどりの薔薇が咲き乱れている。薔薇が集まって一輪がまるでブーケのようなものから、小花のような薔薇が絨毯のように一面に広がっているものもある。白にピンク、紫に黄色、淡いものから鮮やかなものまで。もちろん、野獣の愛した紅い薔薇もあった。
ノアは降ろして貰い支えられながら、美しく広がる庭園に目を細める。
「すごい綺麗…」
「ノアに見せたいと言っただろう?」
レオを見上げる。そう言えば約束をした。すっかり忘れられていると思っていた。あの時はまさか一緒になれるとは思わなくて、レオの将来隣にいる人を思って少し寂しかったのを覚えている。
あの時のことを考えるとまるで奇跡のように思えて、自然と涙が溢れる。
「嬉しいです。約束覚えててくれて…」
「ノアは泣き虫だな」
「王様と出会ってから、幸せすぎて…」
本当に昨日から涙腺が崩壊しっぱなしだ。レオは目尻に溜まった涙をキスで絡め取る。
「さっき、パメラがここの後継者の書類を渡
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