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「並だね」
躊躇う紳士を見て他候補を読み上げる。
「クレア、ブリュネット碧眼、星4つ、背はあんたと同じくらい、美人だが若くはない」
「いくつだ?」
「30」
次々と候補を出すが、難色を示す紳士を前に女主は言う。
「あんた、金はあるのかい?出せるのなら来月に売り戻されるとっておきの人材がある」
「なぜ売り戻される?」
「契約期間が終わったからだよ」
「どういうメイドだ?」
「黒髪黒目、東洋の血が入って肌触りもいい」
「東洋の神秘というやつか」
「星5つ、真珠肌で話し相手の中では1、2を争う美人だし若い。まぁ、あんたが雇わなくてもこれはすぐ買い手が見つかる」
「いくらだ」
他のメイドの倍額の値を伝えると紳士は驚いた顔をしたが、頷いて承諾する。
「来月から1年間契約で頭金に3ヶ月分。半年なら2カ月分。商品に傷は残さないこと。傷が残れば買い取ってもらうことになる」
「そんな趣味はないよ」
「その他、返品、交換、不慮の事故に関してはこの書類を読んでサインを」
「…若い娘がいるんだ、何か間違いが起きたりはしないか?」
「子供はできないように処置してある。お嬢さんが寝てる間にメイドを襲ったとしてもできやしないよ」
「私の娘たちはそんな品のないことはしない」
「そうかい、じゃあ安心だ」
紳士は胡乱な顔をするので女主は続ける。
「メイドの罰則規律は重いからね、自分から手を出す奴はまずいない。駆け落ちしても身分差がありすぎる。メイドはメイドとしての仕事しかできないよう躾けてあるし、他の職業紹介所に登録すれば、すぐ情報が入るよう
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