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間際に玄関で渡された弁当の包みを、私はしばし迷ったのち鞄の中にしまった。
とりあえず繁華街に出ようと、バス停の方に歩く。ここ宮崎は、国内で唯一ICカードがJRで使えないほど、電車文化からは程遠い土地だ。代わりに張り巡らされている交通網はもっぱらバスで、これが一番、東京に出てきたときにカルチャーショックを感じた事だった。要するに、宮崎と東京ではバスと電車の優先順位が逆だというわけだ。それだけ車社会だということでもある。
帰りの飛行機の中で、空港のコンビニで買った履歴書をすべて使って、バイトの準備を周到に済ませた。これから、証明写真を撮って、チェーン系の店を回るつもりだった。
宮崎市内の繁華街と言えば、橘通りである。JR宮崎駅の周辺に、銀行や百貨店、ツタヤなどが集まっている大通りだ。都内によくある、”道を挟んで2軒のコンビニ”状態が再現されている場所と言ってもいい。ここを少し外れると一気に寂しくなるのは、地方特有の現象である。
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