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廃墟への道
翌日、僕は慣れない電車を乗り継いでナダカンのある山のふもとまで向かった。
最寄り駅はまさに田舎の駅といった風情溢れるもので、二軒の民宿と小さな売店以外に営業している店は一つもなかった。
閉店してシャッターが降りているとかではなく、本当に一つも無かったのだ。
その周辺は特に観光名所があるような土地でもないらしく、僕以外に大きなリュックを背負っているような人は一人もいなかった。
余所者がこんな大きな荷物を背負っていたら、すぐにナダカンが目的だとわかってしまうのではないかと不安になった。
何せ廃墟探索はあまり褒められた行動ではないのだ。
しかし、時間的にホテルを探索できるのは今日一日しかない。
少なくとも日のあるうちにはナダカンにたどり着いて、彼の待っている場所へ辿りつかなくてはならない。
僕は決心して、なるべく人目につかなそうな道を通ってナダカンのある山まで歩いた。
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