余白に描く思い出

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 「なんか、ごめん」  「い、いえ、夏樹様が謝られることではありませんよ」  「よし、この話題は終わりな。そうだ、言おうと思っていてなかなか言えなかったんだ。その口調変えてもらっていいかな?」  「口調ですか?」  「うん、そんな敬語使わなくていいよ。敬語だと距離感みたいなの感じちゃうし」  「わかりまし、ではなくて分かった、分かったわ? わ、わわ分かったです?」   また、さっきみたいにガタガタになっていた。  「そんなにならなくても、もっと気楽に」  「気楽にですか? …あ! すみません! いえ、すまん? ごめんなさい!?」  何を言っていいのかわからず、あたふたとしている。そこまで難しかったのかな?  「いきなりじゃなくてもいいよ、だんだん変えていったほうがいいかも」  ここで今すぐっていうのが難しかったか。まあ、可愛かったからもうちょっと見ていたかったけど。  「すみません、今までこういう言葉遣いしかしていなかったので……。明日からは頑張ってみます」  それから夕飯を食べ終わり、後かたづけなどを終えたあと、さあ心の洗濯お風呂の時間。  「あのさ、アイはお風呂入る?」  「そうですね、清潔を保つために体を洗うことはありますが、お風呂は入ることはないですね」  「そうなんだ、それじゃ先にシャワー浴びてきていいよ」  「はい……え! いいのですか?」  また、驚いた様子で答える。いちいち驚いて……。そんなに僕は変なことを言っているのだろうか?  「いいから、早く入ってきて」  「ありがとうございます」  そういって、嬉しそうにお風呂場へ向かっていった。まあ、嬉しそうで何よりです。  そこで、気が付いた。  「着替え……どうしよう?」
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