余白に描く思い出

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 しかし、改めて見てみるとすごいごみの量だ。  多すぎてごみの山がいくつも連なっていて、その高さはかるく大人の身長を越している。  そうして周りを見ながら進むと、運よくお目当ての部品を見つけた。  今回の探し物はアンテナ。これがなければ何もできないからな。  さてもって帰ろうと思ったが、山に刺さっていてすぐに取れそうにない。しょうがない、周りから崩していってとるしかないか。  要らないものをよけていき、あともう少しで取れると思ったが、どうもアンテナを取るとこの山が崩れそうだというのがわかって困った。  どうしたものかな、そう思いながらその山のあたりをぐるぐる回る。  ……今、人の足が見えたような。  いや、さっきまで物音ひとつしなかったんだ。誰かがいるわけがない。  恐る恐るのぞいてみる。するとそこには黒髪の少女がいた。  雪のように白い肌、絹のように滑らかな黒髪。  誰が見ても美しいと感じる。そんな少女だ。   「いやいや、それよりどうしよう、警察? 救急車?」  混乱しながらもとりあえず様子だけ見ようと近づく。まずこういうときって、脈を診るよな。  ……、脈ってどうやって診るんだっけ?  確か、手首のあたりをさわってと……。  そこで違和感があった。血管が見えなかったのだ。  普通血管が見ることができるはずなのだが、そういうのは見られない。  もしかして、もう息がないのじゃとも思ったが、それにしては顔色が良すぎる。  首のところでも脈が診られるはずなの、そこで見てみる。  しかし、そこにはこの人は、いやこれは人間ではないということを示すものがあった。  その首にはコードのようなものが。  「たしか、これは製品番号だったよな?」  しかし、なぜこんなところにあるんだ? いや、もしかして、まさか。  ひとつの考えが頭をよぎったが、どうしても信じがたい。  一応、この番号を携帯端末で調べる。すると本当にそうだった。  これは自立型アンドロイド、しかも初期型の個体だった。  
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