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放課後、アイのことが心配になってきたので、家にさっさと帰ることにする。
朝はばたばたしてしまい、ろくに会話できなかった。具合とか大丈夫だったのだろうか?
「ただいま」
「おかえりなさいませ」
いつものように言うが、いつもとは違う。今日はおかえりと言ってくれる人がいた。
なんだか、とても暖かく感じる。
しかしずいぶん奥から聞こえてくる。どうしたんだろうか?
リビングに入ると、何をしていたかがわかった。掃除をしてくれていたのだ。
「申し訳ありません、初めてで慣れていないものとはいえまだ掃除が終わらず……、もうしばらくで終わりますので」
「そんな、いいのに」
ここまでいろいろとしてもらうと、普段やってもらうということに慣れていない自分としては、申し訳ないやら、ありがたいやらで落ち着かなくなる。
数分たつと、アイが掃除のかたづけをし始めた。本当にすぐに終わったらしい。だが、だからと言って掃除を手抜きしたとは思えないし、何より部屋がきれいになった。
かたづけが一通り終わったのだろう。こちらにきて一言。
「何かやることはありませんか?」
「いや、もういいよ。あとは僕がやるから」
さすがになんでもかんでもやらせるのはヒモみたいで気が引ける。俺の将来設計にヒモになるというのはないから。
「そうですか、わかりました」
まただ。なぜそんなことをいうのかわからない。そんな表情をしている。なぜなのだろうか。
まあいいや、気にしないでおこう。
時計を見るともう午後五時半を過ぎたころ。そろそろ夕飯の支度をしないといけないころあいだろう。
そういえば、一応聞いておかなければならないことがあった。
「そういえば、アイはご飯を食べないのか?」
これを聞いておかないと、何人分作ればいいかわからないからな。
「基本的には電気から充電していますが、食べることはできます」
「そうか、わかった。それじゃ一緒に食べるか」
そう言って、準備を始める。
「夏樹様? 夕食の支度程度でしたら私がやります!」
アイが慌てた様子で訴えてくる。
「いいよ、これくらい僕一人でできるし。アイは座って待ってて」
「はい……」
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