第1章

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楽しそうな甘い声とともに、ぎゅっと抱きしめられる。 ――そこからの、記憶は、ない。 3 なんだか大変な夢を見た気がする。人様にとても言えないような、とろとろふにゃふにゃのへんな夢だ。 「うう……、うー……」 不思議な夢を見たせいか、なんだか身体とても重い。ベッドと身体がくっついてしまったのかと錯覚するほどだ。 「うーん……」 ぼくは眉間にしわを寄せながら、ごろりと寝返った。そして隣に寝転んでいるとても温かい塊に、何も着ていない身体をくっつけた。冷えた足をピトッとくっつけると、足先まで温めるように撫でられて、思わずはあ、とため息を吐いた。その塊はほどよく人肌に馴染むくらいの熱で、くっつくととてもきもちがよかった。 もぞもぞ身体を揺らして、温かいところにもっと身体をいれた。なにも着てないせいで、肌寒かった。ていうかなんでぼく、裸なんだろう。 「寝てていいぞ」 「うー……」 ふわりと被せられるのは暖かな毛布だ。毛布はこのまま二度寝していいよと甘い声で囁いて、ぼくを眠りに誘っている。 ああ、眠い。そして身体がだるい。このまま寝たらだめだろうか。一生このベッドに抱かれて眠りたい。このベッド、まるでシフォンケーキのようにふかふかで心地が良いんだ。 「口、開いてるぞ」 「あふ……」 よだれを垂らして半分開けっ放しの唇に、ふにゃりと柔らかいものが触れた。ああキスだなとあっけなく思う。みるみるうちに蘇るのは昨日の記憶。昨晩は嫌というほどキスされた。無理やり顎を掴まれてされるキスも、機嫌取りのような甘いキスも、なんにも考えられなくさせるための激しいキスも……全部、気持ちが良かった。 「すげえ寝癖」 うるさいな。仕方ないだろくせ毛なんだから。 むっと唇を突き出して、温かい塊に顔をうずめる。頭の上からふふっと笑い声が聞こえてきた。…………頭の上から? 「は……?」 こわごわと顔を上げる。映画の主人公みたいなエメラルドグリーンの瞳と目が合った。朝とは思えないとっても甘い微笑みが、目の前に合った。 「おはよう」 ちゅっ。何かが唇に触れた。 ぼくはぎしぎしと軋む首を動かして、自分の両手に視線を落とした。……知らない男の身体にしがみついていた。ぼくの冷たい足に絡みつくのも、やっぱり知らない男の足だった。 「へ……?」

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