きっと、君だけは愛せない

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そんな中で、大学のサークル仲間だった男友達のケイだけは、飲みに誘うといつでも付き合ってくれるのだ。 どうやら相当ヒマらしい。 「あーあ、私の青春はカズに全て捧げたようなものだったのに。呆気なく捨てられちゃうなんて思いもしなかったな。いつの間にか四捨五入したら三十路ですよ。どうしてくれんのよって感じ」 こんなに思いきり毒を吐けるのは、ケイの前だけだ。 女友達の前だと、愚痴りつつも少し見栄を張ってしまうというか、情けないところとか惨めなところを見せたくなくて、 『あんな男、別れて正解だった。せいせいした』みたいに、私は傷ついてなんかいません、って顔をしてしまうのだ。 女同士のライバル意識ってやつだろうか。 でも、ケイにたいしてはそんなことは考えなくてもいいし思いもしないし、気楽に思ったことを何でも言える。 「そういえば、お前とカズって長かったよな。大学入ってすぐ付き合いだして、結局何年続いたんだ?」 「七年よ、七年。十八歳の終わりから二十五歳になるまで。青春まるっきり捧げちゃったわよ」 「よく続いたよなあ。俺らはてっきり、お前らは卒業したらそのうち結婚するもんだと思ってたよ」 「私だって思ってたわよ。ああ、このまま結婚してずっと一緒にいるんだろうなーって」 でも、そう思っていたのは私だけだったのだろうか。 あんなに仲が良くて毎日一緒にいた大学時代、カズは私との一生を思い描いたりしていなかったのだろうか。 そういえば七年も付き合ったのに、カズは『結婚』という言葉を一度も口にはしなかったな、 と気づいてしまった。 はじめての本格的な恋に舞い上がっていたのは私だけ? 一生一緒にいられるって信じていたのは私の思い込み? 自然とため息が出た。 ――私とカズが出会ったのは、大学のサークルだった。 付き合うようになったきっかけは、正直はっきりしない。 飲み会のときに二人で話すことが多くなり、なんとなく一緒に帰ったり二人で抜けたりするようになり、そのままどちらかの下宿に泊まったりするようになり、 そんな流れで一線を越えて、いつの間にか半同棲状態になった。 どちらかが告白したわけでもなく、なんとなくの流れで。 でも私は確かにカズのことが好きだった。 一目惚れだ。
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