214人が本棚に入れています
本棚に追加
津田海里。俺と同じ高校一年。身長一八一センチのすらりとした体型。モデルみたいな体型のてっぺんに乗った顔は、すっと通った鼻梁と整った口元をしている。そして何より印象的なのは、くっきりとした二重まぶたと長いまつげに囲まれた瞳だった。日本人離れした、紅茶のような薄い色合いをしている。瞳の色と、彫りの深い顔立ちのせいで、ハーフかクォーターのようにも見えるけど、純粋の日本人だというから驚きだ。普段は眼鏡をかけているけど、今は俺のとんでもないところに顔をつっこむ関係で外しているから、その瞳がよく見える。
とはいっても、津田は最初からイケメンだったわけじゃない。俺が初めて会った時は、ひたすら生物部の生き物を世話している変人の生物部部長として「生き物係」という、馬鹿にされたようなあだ名をつけられていた。ださい銀縁眼鏡ともっさりとした前髪、それに長身を目立たせないようにするための猫背のせいで、女子たちには「キモイ」と後ろ指を指されるような、まるで冴えない男だったんだ。
それが何を間違えたのか、同性の俺に恋をして、俺に嫌われたくないからと必死にイメチェンして。元がかなりの素材だったのが幸いして、今じゃ学校一の美形になっている始末だ。そして俺は、津田と、その……だから、付き合うとかなんというか……そんな関係になっている。
そして隙あらば、こんなふうに俺にいたずらを仕掛けてくる。ちゃんと阻止すればいいものの、俺も津田の勢いに流されて、ついついされるがままになってしまう。
「……せめて、うがいはしてくれ。におい、するから」
最初のコメントを投稿しよう！