家路

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家路

 今にも落ちそうな月が 昏い雲に隠れる  しろい街灯だけが 僕らを照りつける  掃き溜めの様な街  風は止んで了って 空には昏い雲許り  低く僕らを抱え込んで 淋しい夜に閉じ込める  人のない交差点の信号が 虚しく青に変わる  平べったい翠が濁った川に映る  未だ掃き溜めの街に月の光は差さない  遠くで  繁華街の苛立った小父さんの怒声がする  暢んびり歩く猫が 空を仰ぎ見て一声鳴いた  掃き溜めの様な街  風は止んで了って 空には昏い雲許り
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