星のない夜

　まんまるの月影が　やさしい光を以て照らして呉れる
　ほかの星影はまったく勝てずに　紺のカンバスに隠れる
　薄らとわたしの背後には陰が在るが
　矢張りくろぐろとわたしを圧さえたりしない

　きょうの夜は剰りにやさしい
　星のない空が却ってわたしに　宇宙の果てしなさを教え
　月明りは道程をあかるくする
　そのやさしさに　涙ぐましく思い
　わたしは　未だ知らない、果てのない路へと想いを馳せる