山本雅美の日常

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 家のドアを開けると、煙草とアルコールの臭いがしてくる  靴を脱いでいると、お母さんが煙草をくわえたまま顔を出す。 「遅かったじゃない」  お母さんはそう言ったが、私の答えを待たずに続ける。 「早めにシャワー浴びちゃいなよ……今日はいつもの日だから」  そう言うとお母さんは部屋の奥に消えていった。  荷物を部屋に置いて、台所にあったパンを少し食べる。どうせ、後でまた戻すんだろうけど。  それからシャワーを浴びる。制服を脱ぐと、簡単に折れてしまいそうな細い体が見える。これ以上ないってくらいに痩せていて、人間とは思えないくらいに病的な姿をしている。  あまり時間もないから、手早く体を洗ってお風呂場を出る。体を拭いて髪を乾かしたら部屋へ戻る。  今日は服を着てはいけない。  そのまま部屋に戻る。明かりは点けずに正座で待つ。  目を閉じて、自分の意識を奥へと沈めていく。  私という人格が薄れていく。正座をしている感覚も徐々に消えていく。裸のままでいるという事さえ忘れていく。
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