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山本雅美の日常
「それじゃあ、また明日」
祐介と別れてから、歩き始めると途端に足取りが重くなる。
家に帰りたくない。自分の心と体がそう訴えている。
突然の吐き気に襲われ、公衆トイレに駆け込んだ。上がってくる物を洗面台に吐き出す。出るのは胃液と学校で少し飲んだジュースだけだった。
ふと顔を上げると、鏡には口の周りを濡らしてげっそりとやせ細った女が映っている。それが私の姿。はっきり言って気味が悪いと自分でも思ってる。食べても吐いてしまうから体重は落ちる一方で、栄養がいってないからか背も伸びない。登校中から体調は良くなるけど、家に帰ろうとすると体が拒否反応を起こす。
それからトイレから出ようとすると吐き気がして、二度吐いた。たぶん胃には何も残ってない。
口を濯いで、トイレを出る。
思いっ切り吐いた後は普通に歩ける。
私の足を動かしているのは、諦め。
あの家以外に、私の居る場所は無い。
私がどんなに嫌がっても、その事実は変わらない。
私の家は、あの最低の家なんだ。
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