君の心をどうか見せて

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 驚いたギャスパーを襲ったのは歓喜だ。彼は、なぜアリアがこのような措置を取っていたのかを察していたから、この発言にはどうしても浮かれてしまう。 「いいのですか。国民に発表したら俺は、ただの婚約者からあなたの伴侶になる」 「うん、それが怖かったんだけどね。ギャスパーが僕に愛想を尽かしたら可哀想だし、国に帰れる保険を残せるようにって、思ってたんだけど」  なにせ全く自分に自信がないアリアだから、十中八九ギャスパーが彼に飽きると、そんな風に思っていた。それなのに彼の短い生涯をアリアのせいで縛ってしまってはならないと、本気で思っていたのだ。正確には、彼は今もそう思っている。 「でも、ギャスパーの言う通り信じてみることにするよ。僕のことじゃなくて、僕のことを愛し続けるお馬鹿さんがいるってこと」  先ほどギャスパーが、ぐちゃぐちゃの心を抱えてなんとか手繰り寄せて言ったその言葉を持ってきて、アリアは言う。さすがに、男前になってしまった今夜のアリアでも真っ赤な顔をしていた。照れた顔もかわいい、とギャスパーが何度目かわからないほど彼に見惚れていると、フイッとアリアがそっぽを向く。 「でも、次の王元会議で、僕が言いたいことを言えたら、って条件付きね」 「それはもしかして…」     
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